短編小説っぽいもの
魔王の生態日記。 --
本編
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外伝
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キャラクター紹介コメント
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後書きコメント
『魔王の生態日記。』
〜外伝〜 「マヤって、MUの前にもMMOとかしてたの?」 慧・天衛の問いに、 「いや、MMOはMUが初めてだ」 とクールに答えたのは熊野御道・祭囃子である。 「だが、ゲーム自体はいくつか嗜む程度に」 「へぇ、どんな?」 少し考えた後、 「主にRPG、それも国語系より数学系が良い」 「・・・えぇっと」 「ドラクエを国語にたとえると、数学はウィザードリィといったところだろう」 「あぁ、ドラクエなら分かるよ・・・けど、ウィザード・・・」 微妙にどもる慧。 「ウィザードリィだ、ケイ」 「ごめん。そのウィザードリィってどういうゲームなの?」 その問いに、夢見るように宙を見つめて銀髪の秀才が説明する。 「そう、あれは正に数字と記号の世界。わたしのフィールドだ」 「・・・RPG、だよね?」 「うむ。ただし、終わりが無い」 「終わりが・・・無い?」 「そうだ、ケイ。ラスボスというものは存在するが、倒してもそこで終わらない」 ある意味、MMOと似ているかもしれない。 「・・・それって、どうなったらクリアになるの?」 「クリアというものが無いのだ。一応、ラスボスを倒したところで簡単なエンディングのようなものがあるが、そこで終わらずにゲームは続く」 眉一つ動かさずに説明を続ける。 「ラスボスを倒す想定レベルは一応13なのだが・・・」 「あ。意外と早いんだ?」 「レベルが100、200、300となっても終わりが無い」 「・・・ケイ、聞いてもいいかな?」 「うむ。何なりと聞いてくれたまえ」 「それってさ、何か目的とかあるの?」 「良い質問だ、ケイ」 重々しく頷く。 「ラスボス戦には不必要な最高級アイテム探しや、ただひたすらにレベルを上げるのだ。何かにとり憑かれたように」 「ひたすら?」 「うむ。来る日も来る日も迷宮に潜り、敵と戦い、レベルを上げ・・・だんだんと感覚が麻痺してくる」 「感覚が麻痺って・・・」 ゲームなのに。 「やがて、自分が何をしているのかも分からなくなる。まさに無我の境地だ」 「えぇっと・・・それって楽しい?」 おずおずと遠慮がちに慧。 「うむ、良いところに気がついた。ケイ」 「あ、ありがと」 「その疑問だが、あの陶酔と忘我の境地は全てから開放された喜びと言ってもいいだろう」 「・・・」 「たとえるならオルガスムスといったところか」 「う」 熊野御道・祭囃子。 自らのミステリアスな美貌を爆弾発言で木っ端微塵に粉砕する女。
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