K'sDiary
“二冊目” --
本編
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外伝
“二冊目”
〜1〜 親友からFLチャットがきたとき、キャスはBC中だった。 なので、とりあえずは無視。 BC終了後、分配まで済ませてからFLチャットを覗いたところ、残されていたメッセージは以下のようなものだった。 聞いて、キャス! わたし、今もういっちゃいそうなくらい興奮してる! あぁ、もう・・・たまんない。 おかしくなりそうよ! キャスはしばらく考えた後、こう返事をしておいた。 SSを撮ったわ。 憶えておいて。 これで、あたしが望めばあなたはセクハラでアカウント剥奪よ。 ところで混に余裕ある? 愛してるわ、シル。 〜2〜 「信じられないっ、親友を脅すなんて!」 ノリアでシルがわめいた。 目の前の親友に詰め寄る。 だが、キャスは動じずに言った。 「あたしも信じられなかったわよ。なに? あの残ってたメッセージ」 「そう、それよ!」 シルは興奮そのままに、 「もう・・・信じられないことがあったの。アレを落札したのよ、このわたしが!」 「アレ?」 その言い方がまた卑猥な。 シルは“ちょっと待って”とジェスチャーで示し、荷物袋から大きな物を取り出す。 「これよ!」 「わぁお」 エナメルがかった質感の奥に、まるでゼリーのようなゆらめきが見える金色のボウガン。 古代の発明家の名前を取って“ダイダロス”と呼ばれるマニアックな武器。 かつてはBCで猛威を振るい、最多人口の職からクレームを雨あられと降らされた歴史もあり、その性質は修正されたものの。 数ある射撃武器の中でも一際に異彩を放つ固有スキルは、今なお熱烈な信奉者も少なくない。 そして、キャスの親友シロベーンは昔からダイダロス・マニアだった。 人は彼らマニアのことを“ダイダリアン”と呼ぶ。 かのハリポタのファンをポッタリアンと呼ぶようなものか。 「これってEXよね?」 「ええ・・・でも、それだけじゃないの」 シルはいつになく輝いた表情で話す。 (ダイダロの話するときって、目がキラキラしてるのよね) キャスはこっそり苦笑する。 「それにこの輝きは強化済み」 よく気づいたわね、とばかりに頷くシル。 「いくつだと思う?」 なんとなく、雰囲気でごくりと息を飲んでしまう。 「まさか」 「そう、そのまさかよ!」 「13!?」 「そう、13!!」 「すごいじゃないっ、おめでとう! あんたなら落札できると信じてたわ」 だって、他にそんな酔狂な人間はいないもの。 とは口に出さず、親友を祝っておく。 「あぁ、ありがとう。キャス」 いつもならキャスの内心などお見通しの親友も、狂喜の中では気づかないようだ。 「で、いくらだったの?」 落札価格。 「いくらだと思う?」 「う〜ん・・・あたしが前に見たときは祝17で競り合ってた」 「中盤ね」 う。 あれで中盤だったとは。 修正された今、ダイダロスは性能でなく完全に趣味の武器と化している。 それなのに祝17も出して中盤? マニア魂、おそるべし。 「・・・さ、さんじゅう・・・とか?」 キャスとしてはかなり踏み込んだつもりだったが、 「甘いわね」 「うそでしょ。それじゃ・・・よ、よんじゅう」 「惜しい! 正解は47よっ」 そして、二人そろって奇声を上げて抱き合う。 「「きゃーっ!!」」 信じられない、“こんなモノに祝50近くも出すなんて”。 読心術の心得が無い親友に幸あれ。 シル、あんたは最高のダイダリアンよ。 もう正気を疑っちゃうくらいね。 「あぁ、もうほんと最高の気分よ。試し撃ちしに行かなきゃ」 今のシルなら、試し撃ちのためだけに不死鳥までだって特攻するに違いない。 まったく躊躇もせずに。 「そういえばEXOPは?」 オークを覗いてはみたが、正直さほど興味が無かったので詳しく見なかったのだ。 だが、その瞬間、シルの目が輝いた。 「知りたい?」 キャスは心の中で自分に言い聞かせた。 間違えちゃダメよ、キャス。 ここで“NO”と答えた途端、友情も消える。 「ええ、とっても知りたいわ。シル」 案の定、親友は嬉々として語りだす。 あぁ、世の中の男どもは何をしているのだろう? 今ならこの美女を難なく食事に誘えるのに。 話題は選べないだけで。 「これ、3OPなのよ」 「EXOP3?」 よく取引板ではよく“通常OP”と“EXOP”を合わせて3OPなどというのを見かける。 それならともかく、幸運や、果ては武器スキルまで入れて派手なOP数に書くスレッドも見かける。 あれはいくらなんでもひどいと思うのだが。 「そう、EXOPが三つ!」 「わお。ガチャかなにかの賞品だったのね?」 EXD確率+10%に、攻撃速度+7。 さらに任意のEXOPをお一つ。 トドメに幸運付きの豪華賞品。 お好きな武器をお書き下さい、と。 「・・・ってことは」 何でも好きな武器が選べるのに、元の持ち主である当選者はダイダロスを選んだということになる。 うわぁお。 EXブラックブレードやEXクンドンの杖、いやいや・・・EXエレメンタルメイスだって選べるのに? さっきのは訂正。 世の中、上には上がいるものだ。 恍惚とした表情でダイダロスの銃身に頬擦りする、そんな親友の姿を少し気味悪く思いながら、キャスは不安に駆られた。 それとも、シル・・・まさか、あんたもそんなことしないでしょうね? 〜3〜 「んー、やっぱり精霊の仮面は最高ね」 倉庫から取り出した愛用の装備にキス。 普段は白銀に輝くパルテナ装備の凛々しい女騎士シル。 だが、その隠された性癖とでも言おうか。 彼女は知る人ぞ知る“ダイダリアン”であると共に、無類の精霊装備好きでもあった。 あのエメラルドの輝き、カメレオンを思い起こさせる焦点の合わない瞳。 その無表情な貌は、見ているだけで心騒がされる。 不安にもひどく似たときめき。 そう、ときめきだ。 若かりし頃、今では想像できないほど奥手だった彼女の青春時代。 お決まりの片想い、告白への葛藤。 あの不安と一体化した胸の高鳴り。 精霊の仮面を見つめていると、鼓動が高鳴るのが分かるのだ。 (恋だわ) いや、変だ。 旦那が知ったなら、さぞや嘆くだろう。 困惑するに違いない。 精霊の仮面をつけて見つめる愛する妻に。 グラマラスな精霊装備に身を包み、官能めいた吐息でダイダロスに頬擦りする美女。 その倉庫の周囲では、用も無いのにアイテムの出し入れを繰り返すナイトの姿が多いのもむべなるかな。 (((う!))) だが、その蟲惑的な空間は彼女が頭部装備をつけた途端に霧散する。 おそるべし、精霊の仮面。 彼女と・・・いや、その仮面と目が合う前に、蜘蛛の子を散らすように四散する男ども。 アルゴス装備+EXダイダロス+13。 EXD速度、さらにLv20という無駄に過激な火力重視な武器を持ち、アマゾネスは旅立つ。 獲物を求めて。 サァ、狩リノ時間ダ。 女騎士、それが今じゃ、プレデター。 字余り。 一方。 「あれは・・・レオナ?」 キャスは騒がしい街の一角に目を凝らした。 ナイト二人が何やら大声で罵り合っている。 一人が“ワラビー”のギルメンとあっては、見てみぬ振りも出来ない。 近づくと、周囲の人だかりの中に見知った顔を見つけた。 「チャンドラー?」 やはりギルメンのナイトに声をかける。 「よぉ、キャス」 振り向いたチャンドラーは完全に野次馬モード。 仲裁に入ろうという気が微塵も無いのは表情から明らかだった。 「あれ、レオナよね? 何があったの?」 「あー・・・相手はレオナの親父さんらしい」 「は?」 「レオナの、リアルの、父親」 わーぉ。 「じゃあ、あれって親子喧嘩ってこと?」 「・・・まぁ、そうなるかな」 なんとまぁ。 「レオナって、確かまだ中学生よね?」 「だな。ジョーイが友達を紹介しろって言ってたよ、レオナは女子校だから」 「・・・」 変態め。 おおかた姉狙いか、さもなくば光源氏計画といったところに違いない。 ジョーイのことはこのさい無視ろう。 心に決め、大声でモメる二人のナイトの様子を見る。 レオナは二次羽を付けたナイトで、最近はずっとサブのEEをしてたはずだ。 実際、ナイトのほうは随分と久しぶりに見た気がする。 対して、相手のナイトも二次羽だ。 しかも、ハイオン&アプルの無難なお決まり装備。 レオナのほうがフェニ装備なせいで、まるでトカゲとイルカが喧嘩してるみたいに見える。 「もう! しつこいわねっ、出てってたら!!」 レオナはリアル女子校生だが、見た目はナイトなため・・・オカマさんに見えるのが哀しい。 「お前が部屋の扉を開けろ! まったく勝手に鍵などつけおって!!」 どうやらリアルで娘の部屋に入れなくなったらしい。 年頃を考えれば無理も無いが。 「お父さん、締め出されちゃったわけ?」 小声でチャンドラーに話しかける。 「というか、レオナが部屋に立て篭もってるみたいだ」 「で、MUで説得ってわけ?」 いやはや。 MUも随分と進化したものだ。 離れた家族の絆も異世界で修復を。 ようこそ、MUへ。 「出てっててば!」 MUから。 「お前に私がやるゲームに口を出す権利は無い!! お前こそ、さっさとドアを開けろっ」 自室の。 「イヤよっ!!」 埒が明かない。 そもそも、リアルのドア越しの会話がMUのチャットになっただけで解決するはずもない。 (どうしたものかしらねぇ) 苦笑するキャス。 リアルではそれなりに深刻で、MUでもギルドの体面などの問題もあるはずなのだが・・・ (見た目が、ねぇ) オカマのイルカ男と、トカゲ男の痴話喧嘩にしか見えないわけで。 どことなく、シリアスな空気を壊すものがどうしても。 そんなことを思っているうちに、二人のナイトの言い合いは進んでいた。 「だいたい何だっ、その格好は!!」 あんたが言うか。 トカゲ男がオカマのイルカ男に説教する。 が、 「あたしの勝手でしょ! あたしはあたしが着たい物を着るわっ」 やたらとオネェな仕草で自分の身体を抱きしめるイルカ男。 「ええい、情けない!! 脱げっ、そんなものさっさと脱げ!!」 すわ、トカゲ男ご乱心か。 「きゃあぁっ、やめてよ! ヘンタイ!!」 「ヘンタ・・・それが父親に向かって言う言葉かっ!!」 「パパに犯されるぅっ、いやぁぁぁっ!!」 あぁ、タイヘンなことにっ!! 凄くイヤな空気が流れる。 だが、そんな場の空気もよそにオカマイルカとトカゲパパは真剣だった。 「ええい、気色の悪いことを言うなっ」 「気色が悪い!? それが年頃の娘に向かって言うセリフ!!?」 「女のくせにそんな男みたいな格好で女みたいなことをっ!!」 何が何だか分からない。 あぁ、ややこしい。 キャスはしばらく考え込み、隣りで完全に観客状態のチャンドラーを見、もう少し考えた後で思った。 もう少し見てみよう。 (面白そうだし) 確かに、なかなか見られるものではない。 〜4〜 シルには疑問で仕方がないことがある。 ぶっちゃけ、突然驚いたときに可愛く“きゃあっ”なんて出るんかい・・・ということである。 自分の場合は、まず息が詰まる。 無音。 強いて言えば、“うぐっ”に近い。 無理やりに音にすると、“ぐひゅっ”か“ぐふぅっ”といったところ。 ・・・可愛くない。 前者は時代劇で斬られたみたいだし、後者に至っては人間の尊厳に関わる感じだ。 なぜ、こんなことを思い出したかというと。 答えは今のPTメンバーにある。 野良BCで、構成はナイト1敏エル1EE1DL1Wiz1。 問題はこのEE。 実に愛嬌のある可愛らしいタイプの女だった。 例えるなら、さとう玉緒かナントカゆうこか。 言い換えるなら、同性からのウケは最悪タイプ。 シルがダイダロス試し撃ちのイロモノ装備なため、実質このEEが紅一点のようになっているのもまた不愉快だ。 「あんっ」 噴飯ものの少女チックな悲鳴をあげ、EEが橋で詰まる。 (い、イライラするっ・・・!) 今なんつった? “あんっ”? はっはー、笑わせるわ。 口元が引き攣るのが自分で分かる。 モンスに向けるダイダロ乱れ撃ちをする指に力も入ろうというものだ。 何を考えているのか分からない無表情な精霊の仮面。 その仮面に隠れたその表情も、実は負けず劣らずコワイ状態だったりするのは神のみぞ知る。 あの女目掛けて撃ち込んでやれば、さぞやすっきりするだろうに。 だが、シルは理性的な女だった。 たとえ、今は見た目がプレデターでも。 前半のノルマをクリアし、門を破壊し、髑髏メイジを倒し、石造を破壊し。 AAを回収したメンバーが次々に橋の手前まで疾走する。 そんな中、帰り道の途中でEEが・・・ 「きゃんっ」 「・・・」 おぉ、神よ。 キレた女プレデターは、近未来な武器をEEに向けて放った。 一方。 「あたし、今までパパが言うとおりに生きてきた!」 「それのどこが悪い!?」 親子喧嘩もまだ続いていた。 「女はエルフだって言うからサブを作って、言われるままにパパにもらったクリスを持って・・・」 「あぁ、EEはクリスだ! 何も間違ってないぞ」 「でも、あたし気づいたのよっ」 大げさなジェスチャーで、オネェ言葉のイルカさんナイトが主張する。 「本当に欲しいのはクリスじゃなくて・・・そう、ひょっとしたら盾かも、アクセかもって!!」 混乱気味だが、自分の思いを必死に伝えようとする。 「なんだ、盾が欲しいのか? EXアクセも買ってやろう」 「そうじゃないわよっ!!」 だが、そう取られても仕方がない面がある主張だった。 「あぁ、もうっ」 イルカナイトは苛々したように周りを見回し、観客に混ざっていた同じギルドのチャンドラーと目が合った。 一瞬慌てた後、彼は愛想笑いを浮かべて言った。 「あー・・・あまり物分りの良くないお父さんだね」 チャンドラーのルールその12、“敵にしたくない相手には味方のように振る舞うこと”。 〜5〜 「おかしい・・・こんなの、絶対におかしいわ・・・」 シルはぶつぶつと呟きながら、現状に至る経緯を自分なりに整理しようとした。 その一、EEが帰りの橋で詰まった。 その二、そのEEの噴飯モノの悲鳴でシルはキレ、EEに向かってダイダロスをぶっ放した。 その三、結果、サタン付きの女プレデターの砲撃でザコモンスは吹っ飛んだ。 その四・・・そして、今シルに熱に浮かされたような目でしなだれかかるEEの姿。 「お姉さま・・・♪」 シルは自分の意識が遠のくのを感じた。 凄い。 ノリアのキノコに“座ってるのに立ち眩みするなんて”。 そして、シルの意識は闇に飲まれた。 「@チャンドラー? まだ野次馬してるの?」 不毛なホモカップルの口論に見える光景に飽き、露店巡りに行っていたキャスがギルチャで尋ねた。 「@あぁ。ちょっとした進展があったよ」 「@進展?」 「@ヒマならロレ下のエリフィ前に来てくれ。面白いものが見れるかも」 行こうと思えばすぐだが・・・なんだろう? 「@何があるのよ?」 「@決闘になった」 「@・・・は?」 「@レオナだよ。親父さんと決闘するんだと」 なんでそうなる。 「@・・・何のために?」 「@俺が知るかよ。そう、多分・・・彼女の家では伝統的な解決法なのかも」 「@理解に苦しむわ」 「@あぁ、俺もだ」 が、チャンドラーは続けた。 「@でも、見てる分には面白いぜ? 親子喧嘩でコンボ合戦なんて聞いたことない」 確かに。 「@すぐ行くわ」 キャスが到着したとき。 決闘のスコアは9対9、お互いに1本取れば勝利という局面まで来、そこで膠着状態になっていた。 キャスの見るところ、理由は二つ。 まず第一に。 お互いにコンボが決め手なため、スキル二つ目までで距離を取ってしまうのだ。 スキルを二発目まで当てては離脱するという不毛な展開。 そして、二つ目の理由は二人の内面に。 罵り合うオカマイルカとトカゲ男。 だが、そんな二人もやはり親子、父と娘であった。 お互いに止めを刺すのが躊躇われるのだ。 そんな心の迷いがツメの甘さとなって、コンボ成立の三段目まで繋げられないでいる。 と、キャスは思ったのだが。 二人のナイトが斬り合い、剣を交差させて力比べになった瞬間、トカゲパパが囁いた。 「昨日、駅前で一緒にいた男子は彼氏か?」 「!」 「スキあり!!」 心の動揺が剣に出た瞬間、そこに付け込むトカゲパパの剣戟。 「ふっ、よく避けた・・・だが、まだまだ精神的に子供よ」 なんとあこぎな真似であろうか。 くっくっくと笑うトカゲパパに、もはや父親としての愛は見えない。 「・・・やってくれるわね、パパ。あたしを本気にさせたわね」 「ほぅ、今までは本気でなかったというのか。片腹痛いわ!」 「・・・なんやかやで楽しそうね」 最後のはキャスの感想だ。 そんな観客をよそに、再び剣を合わせる二人のナイト。 軋る交差した剣先。 今度仕掛けたのは娘であった。 「パパ」 「なんだ」 「ママとは恋愛結婚だったそうね」 「なっ・・・貴様、どこでそれを!」 娘に向かって“貴様”はどうだろうか。 「スキありっ、プロポーズの言葉はなんだった!?」 「ぐおっ」 あぁ、もはや二人の間に父娘の愛情など存在しないのか。 娘が放ったOIコンボの範囲から辛うじて逃れるトカゲパパ。 危なかった。 一瞬でも飛びのくが遅ければ・・・ 「き、きさま・・・恥ずかしいと思わんのか! この卑怯者め!!」 あんたが言うか。 だが、本気を出した娘は怯まなかった。 「よくお土産にキムチを買ってきてくれたわね。ママの好物は何だったか知ってる?」 間合いを詰める。 「むろん、キムチが・・・」 「ママは辛いものが本当は苦手なの!」 「なっ」 動揺した父に武器スキルで飛び込む。 「パパが買ってきたものだからって、無理してたのも気づかないでっ」 「ほ・・・」 本当なのかっ、幸恵。 思わずEX稲妻の剣を取り落とすトカゲパパ。 そこに二段目のTCがヒット。 戦意喪失気味の父親に、娘は渾身の力でGBを叩き込んだ。 「見合い結婚だとかウソつく前に、照れずに日曜のデートくらいしてあげなさいよっ!!」 武器スキル、TCへと凝縮された威力は、三段目のGBへと繋がり・・・一気に縮爆。 発動したコンボの爆風と共に、情け容赦なく吹き飛んだトカゲパパの絶叫がロレに響いた。 「ゆゅぅきえぇぇぇぇっ!!」 〜6〜 結局、実に派手な父娘喧嘩をしたレオナ家の闘争は一応の解決をみた。 肝心のレオナ自身の“自分の思うように生きたい”という思いは伝わっていないものの、レオナパパは落ち込んでいる。 きっと、そこに付け込んで娘は勝利し、窮屈な親の檻から一歩踏み出すに違いない。 一方で。 「シル・・・何かくっついてるわよ」 右肩の辺りに・・・EEが。 「キャス。それ以上、言わないで」 疲れきった様子で、 「これは夢よ。きっと醒めるわ」 そう言うシルにベタついたまま、“これは夢のようだ”と幸せを満喫するEEが 「はじめまして! あたし、お姉さまのマブダチの・・・」 「マブ・・・?」 いまどきマブダチは言わんだろう。 そんな絡み合う二人のエルフを見ながら、通りがかったジョーイが満面の笑みで、感に堪えないといった様子で感想をもらした。 「ん〜、いいねぇ」 「誤解しないでっ」
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