K'sDiary
“一冊目” --
本編
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外伝
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後書きコメント
“一冊目”
〜外伝〜 「へぇ・・・それじゃ、僕もレベルを上げれば空を飛べるんですね^^」 無邪気な歓声を上げる新しい生命。 新規ミュティズンを囲んでいるのは“ワラビー”ギルメンのサブで構成されるギルド“ダマワラビー”の面々。 「そそ。羽が生えるw」 「パタパタしたい^^」 「あははw」 「いつ生えてくるんですか?」 MUの羽は装備であり、購入なり製作なりしなくてはならないが、確かに羽といえば普通は生えてくるものだ。 「オトナになったら」 「Σ」 「ウソを教えるなw」 また笑い。 こういう会話はいつも新鮮な気がする。 それはきっと、相手がいつも新しい生命だからだろう。 この世界に新しく生れ落ちる生命との出逢い。 それはいつも特別なものだから。 「ほんとはね、レベルが180になったら装備できるアイテムなの」 「それじゃ・・・取ることも出来るんですか?」 「ほれ」 途端に消えうせるやたら重そうな守護天使の羽。 「Σもげた」 「もげ・・・」 再び装着。 「Σ生えた」 「ふっふっふ」 「僕も羽まで頑張ってレベル上げますねー^^」 微笑ましいガッツポーズ。 「いあいあ、羽なんか序の口よ?」 「んだんだ。羽だって一次羽と二次羽あるしねえ」 「二次・・・?」 その疑問の直後、狂戦士の皮装備だったナイトの姿が消え、かわりに柔らかそうな羽のウィザードが現れた。 二次羽ウィザードのオポッサムが、 「これ。そこの弟子の羽と違うっしょ」 「俺ってお前の弟子だったんか?w」 一次羽のウィザードが笑う。 「何も教えてもらった記憶がないんだけどw」 彼もメインは“ワラビー”の二次羽職だ。 「せめて次覚える法書くらいくれw」 「メインで取りに行けw PTくらいは組んじゃる」 「あ、それもいいわね。今度みんなで法書探しPTしましょうよ」 「それもいいのw」 法書ドロップ率の不都合は修正されたが、たわいもない小イベントも良いものだ。 「うわぁ、こっちのほうが天使って感じですねー」 物珍しそうにソウルウィングにまとわりついている。 「でも、Wizの二次羽はゴワゴワしてるからなあ;」 「これ、重そうだよねw」 「よし!」 「ん?」 「僕も二次羽まで頑張ります^^」 さっきよりも若干、勇ましいガッツポーズ。 「あー、でもまだまだ先あるよ?w」 「Σ」 「そだねー・・・魔剣士もあるし」 「DLも250からだの」 「300からフェンリルって生き物に乗れるようになるよぉ^^」 「あの放電生物なw」 「走るときの仕草がかわいいんだよねぇ^^」 「大ボスのクンドン本体と戦うにも、マップ入場制限あるしな。350だっけか?」 「380装備もあるねw」 ややバランスが悪いほど後半の成長ペースの遅いMUだが、クエストが単調で種類が少ないわりに、思い出せばそれなりに楽しみもある。 「うー・・・と、とにかく頑張りますっ!!」 「あははw」 「おっしゃ、その意気だ」 「がんがれー^^」 燃える少年と、それを応援する皆。 そんな輪を通りがかった“ワラビー”のメインナイトが口を挟んだ。 「そうだ。上は無限の可能性に満ちてる」 「ジョーイ、やっと来たのかw」 歓迎するギルメンのサブを横に、彼は熱弁した。 「俺の兄貴も言ってたよ。“四十八手で立ち止まるな。煩悩の数だけ体位はある”って」 「「「ジョーイ!!」」」 「・・・俺、なんか悪いこと言ったか?」
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