短編小説っぽいもの
のろのろい。 --
本編
『のろのろい。』
〜呪い〜 森の娘がいました。 ラルファク教の司祭がいました。 美しい森の娘に心奪われた司祭は、彼女をラルファク教へと誘います。 心も美しい娘は神の教えを敬い、司祭の下でラルファク教徒となりました。 ですが、人の心はままならぬもの。 運命とはままならぬもの。 一つの出逢いが不幸の始まりでした。 彼女はある男に恋をしました。 その男はマブ教徒だったともいいます。 やがて、彼女は子を宿しました。 それを知ったとき、司祭の怒りは凄まじいものだったそうです。 いえ、それはもはや怒りではなく・・・。 そして、彼女は愛した男の子をうみました。 娘でした。 司祭に彼女は懇願しました。 これが罪であるならば、自分はどう裁かれても構いません。 けれど、それはこの子の罪ではありません。 どうか、どうか。 彼女は我が子に願いました。 「幸あれ」と。 「うまれてきてくれて、ありがとう」と。 司祭はその子に願いました。 「不幸あれ」と。 「うまれてきたことを、後悔するがいい」と。 言葉は願いです。 願いは祈りです。 そして、祈りは呪いでもありました。 〜娘〜 幼子は自分が祝福されたことを知りません。 母の手から引き離されたからです。 幼子は自分が呪われたことを知りません。 司祭以外、そのことを誰も知らなかったからです。 幼子は小さな院に預けられました。 素朴な村にある、純朴な人々の住むところでした。 みんな、ささやかだけれど、幸せに暮らす村でした。 彼女もそうなるはずでした。 あの呪いさえ無ければ。 幼子の周りに、ほんのちょっぴりの不幸が起こり始めました。 最初、それはごく他愛ないものでした。 幼子を抱き上げた女は、よくつまづいて転びました。 馬車の車軸が、しばしば折れました。 よく天気が荒れました。 時々、食べ物にカビが生えていました。 水が腐っていたこともありました。 でもそれらは、たまたまと言えるものでした。 そう思うことも、できる程度でした。 けれど。 娘が成長するにしたがって、周囲の不幸は大きく、はっきりしたものになっていきました。 幼子が笑うことを知り、喜ぶことを知るにつれ、それはもう隠しようもないものになっていったのです。 彼女にお土産を買ってきた老人は、その夜のうちに足の骨を折ってしまいました。 彼女と友達になった子供は、次の日から大変な熱を出してしまいました。 あぁ。 そうです。 そうなのです。 かの司祭の呪いは、彼女自身に災いを起こすものではありませんでした。 彼女が喜ぶたびに、周囲に災いを撒き散らすものでした。 母が願ったように幸せを感じるたび、周囲に不幸を起こすものでした。 そして、その程度は共に比例するもので。 彼女の喜びが大きいほど、相手は大きな災いに見舞われるのです。 彼女が幸せなほど、周囲の者は不幸になっていくのです。 娘の齢が10を過ぎる頃、それはもう明らかでした。 その頃にはもう、彼女は自分のソレを自覚していたはずです。 させられていたはずです。 人々は、彼女に関わることさえ恐れるようになっていました。 彼女はビスクの大聖堂に送られました。 その頃には、もうあの司祭はいませんでした。 ラルファク教の敬虔な信者たちは悩みました。 このおそろしい運命に見舞われた少女をどうすべきか。 このかなしい呪いをかけられた少女をどうすべきか。 けれど、彼らは力不足でした。 彼らは儀式を行い、少女の呪いに一定の制限と法則を与えるのが精一杯でした。 ビスク西にある銀行前広場からお城へと向かう広場にある祭壇。 少女はそこから出ることが出来なくなりました。 彼女が望めば、そこから出ることは出来ます。 けれど、それは周囲に災いを撒き散らすことになります。 その祭壇にいる間だけ、彼女はどんなに喜んでも不幸を起こさずに済むのです。 ただし、その日の終わり。 一日の終わりに、日が移ろうそのとき、蓄積された呪いは魔物の姿となって顕現するのだそうです。 そのはずだと、ラルファク教の神官は言いました。 限られた自由、いえそれは自由と呼べるものではなかったかもしれません。 けれど、彼女は安心しました。 ここにいれば、彼女は笑ってもいいのです。 誰か他の人と話したっていいのです。 この日、神官たちが相手とはいえ、彼女はひさしぶりに会話というものをしました。 なんと楽しかったことでしょう。 他の人に言葉をかけ、他の人から言葉をかけてもらうことは、なんと心躍るものなのか。 それは、彼女がもうすっかり忘れていたことでした。 なんて、驚き。 喜んでもいいのです。 幸せになっても、いいと。 そう思いかけてさえいました。 深夜0時の鐘が鳴るまでは。 ビスクに響く鐘の音。 それを聞きながら、彼女は感じました。 ヘッケルさんが転んで足を折ったときに感じた胸騒ぎ。 ティベルが熱病にかかった夜に感じた、あの感覚。 またです。 またなのです。 あぁ、やっぱり。 彼女は察し、怯えました。 「ごめんなさいっ、ごめんなさい・・・!」 少女は叫びだしました。 この日、祭壇に囚われた最初の日、彼女はとても嬉しかった。 「ごめんなさいっ、ごめんなさい・・・」 嬉しくて、ごめんなさい。 喜んで、ごめんなさい。 いけないことなのに。 いけなかったのに! ごめんなさい、ごめんなさい・・・ 少女の頭の中は、その思いでいっぱいになりました。 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 少女は、泣きながら謝ります。 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。 嬉しかったの。 たくさんの人と久しぶりに、本当に久しぶりにお話できたから。 そのたくさんの嬉しいは、その夜0時の鐘が鳴り響く中、大きな大きな魔物となって現れようとしていました。 少女は、わめき散らすように謝ります。 声はもはや音でした。 GOMENNASAI,GOMENNASAI. GomEnNasAi,gOMeNNasaI,GoMEnnAsAi. 鳴り響く鐘の音に乗って、少女の声が、音が、祭壇に響き渡っていました。 それにしたがって、巨大な黒い影が魔物となって実体化していきます。 なんて大きな、おそろしい姿。 様子を見るためだったのでしょう、その場に残っていた数人の神官たちは、大慌てで逃げ出しました。 魔物は祭壇からは出られないのです。 祭壇の上にいるのは魔物と、少女だけになりました。 彼女は朝日が昇るまで、魔物と一緒に過ごしました。 夜明けと共に、魔物は消えてしまいました。 神官の一人が言いました。 成功だ。 他の神官が囁きました。 とりあえずは。 また他の神官が呟きました。 可哀想に。 けれど、それが彼らの限界でした。 昼間、たくさんの人が彼女を訪れるようになりました。 ある者は同情からです、魔物のように囚われている少女を慰めるために。 ある者は好奇心からです、魔物のように囚われている少女を眺めるために。 その多くは冒険者でした。 祭壇から出られない少女に、外の世界の話をするために。 少女は冒険者の話に魅了されました。 彼ら彼女らの持ってくる戦利品のかけら、ささやかなお土産の品々。 それらは話と共に、少女を外の世界へとつかの間の旅に連れ出してくれました。 ひとときの錯覚でもいい。 少女はその砂時計の砂粒のような幸せな時間を噛み締めました。 彼女にはそれしか許されないから。 限られた中でしか、幸せになってはいけないから。 笑ってもいい時間、少女は再び笑うことをおぼえました。 少女はいつの間にか、笑うことさえ忘れていたのに。 自分で禁じていたのに。 でも許される。 今なら。 ここなら。 それがたとえ、昼の間だけであっても。 少女は、幸せでした。 自分では本当に、心からそう思っていたのです。 けれど、人々はそう思いませんでした。 あの魔物は、少女を傷つけることはありません。 皮肉にも、その呪いの故に。 少女でなく、少女の周囲に不幸を撒き散らす呪いであるがゆえに。 けれど、少女は魔物が嫌いだった。 大嫌いでした。 こわかった。 当然ですよね。 まだ十を出たばかりの少女にとって、山のように大きな魔物と一夜を過ごすということ。 こわくないわけなんかありません。 深夜0時の鐘が鳴り始めると、少女は怯え始めます。 この鐘が鳴り終わると、魔物は完全にその姿を現すのです。 こわい。 あいたくない。 あるとき、冒険者の一人が言いました。 魔物を、倒そう。 俺たちで。 その呟きは、あっという間に彼ら彼女らの間に広がりました。 その日のうちに何十人もの冒険者が祭壇の周りに集まりました。 少女は叫びます。 逃げて。 少女は知っています。 自分の周りのひとは傷つくことを。 少女は知りません。 自分の周りの人は不幸になるということしか。 少女を優しい声でなだめる冒険者の女、少女に力強い声でうけおう冒険者の男。 大丈夫よ。 心配しないで。 大丈夫だ。 俺たちが魔物をやっつけてやるさ。 不安でいっぱいになった少女の上に魔物が顕現し、冒険者との戦いが始まりました。 激しい戦いの後、魔物は倒され、夜の闇の中に消えていきました。 冒険者たちは歓声を上げました。 けれど、少女は見ていました。 多くの冒険者が、目の前で死んでいった冒険者がたくさんいたことを。 それからは、その繰り返しの日々でした。 昼間、冒険者たちは少女を訪れ、土産物と共にたくさんの話をします。 少女は外の世界に憧れ、冒険の話にわくわくし、笑います。 深夜0時の鐘が鳴ると、彼らは魔物と戦います。 少女は自分のために戦ってくれる人々を、自分のために傷つく人々を、自分のために命を落とす人々を見ます。 少女が遠慮しても、彼らは少女を訪れることをやめようとはしませんでした。 少女が止めても、彼らは戦うことをやめようとはしませんでした。 少女のために。 そう思って。 いつからでしょう。 深夜0時の鐘を聞いて怯える、その理由が変わってしまったのは。 少女は怯えます。 魔物にでなく、彼ら彼女らが傷つき命を落とすことに。 それを見ながら悲しみ、それなのに自分のどこかでうまれている小さな、小さな小さな喜びに。 自分のために戦ってくれる冒険者に。 自分のために傷ついてくれる冒険者に。 自分のために命を落とす冒険者に。 それを嬉しいと思ってしまう自分にこそ、少女は怯えるようになっていたのです。 自分が願っているのは何なのでしょう。 周囲の人が不幸になるのがこわかった。 そのはずなのに。 今の自分は・・・自分は・・・。 少女はやがて、あまり笑わなくなっていきました。 そしてあるとき、少女は気づいたのでした。 冒険者たちの顔の中に、最初の夜にいた顔が一つとして無いことに。 彼ら彼女らの遺志は受け継がれているのでしょう。 だから、こうやって今も冒険者は集まり続ける。 けれど、最初の夜にいた彼ら彼女らはどうなったのか。 こなくなっただけかもしれません。 中にはそういう人だっているでしょう。 でも、きっと・・・少女は思いました、死んでしまったのだと。 自分のために命を落としてしまったのだと。 結局、自分は幸せになってはいけないのです。 それなのに。 錯覚していた。 あまりにもたくさんの人が話しかけてくれるから、あまりにもたくさんの人が戦ってくれるから。 だから、気づかなかった。 不幸はずっと、自分の周りに降りかかり続けていたのに! けれど、冒険者たちはそんな少女の心の変化には気づきませんでした。 むしろ、なおさらに奮起し、魔物と戦ったのです。 そして、また彼女は笑うことを忘れていきました。 そんな少女の思いを冒険者たちは理解できませんでした。 誤解も生まれました。 ときに、冒険者たちが訪れない日もあるようになりました。 そんな夜、魔物は小さな小さな姿で顕現します。 まるで冗談のような、小さなネズミの姿をした魔物。 少女は話しかけます。 「今日は誰も来なかったわ。だからなの?」 「嬉しいことが何一つない日の夜は、誰も傷つかなくていいのね?」 「安心して、いいの?」 嗚呼。 よくありませんでした。 誰も自分のために傷つかなかった。 寂しさの中でそう安堵する、その小さな小さな感情。 それもまた、嬉しいでした。 呪いはどんなに小さな嬉しいも見逃さないのです。 そんなことさえ、少女に許さないのです。 次の日の夜は・・・大きな魔物でした。 そして、魔物はたくさんの冒険者を殺してしまいました。 どのくらい月日が流れたでしょう。 半年? 一年? それとも、もっと? 繰り返される日常。 ある日、笑顔をまったく見せなくなった少女に、ある青年が話しかけました。 深夜0時の鐘が鳴り響く中で。 「いつからだろう、きみは笑わなくなってしまったね」 うん、そう。 だってそれはいけないことだもの。 「でも、きみが嬉しさを感じなくなったわけじゃないよね」 そんな・・・そんなこと、ない。 嬉しくなんか、ない。 だってそれは、それは・・・ 「その証拠に、ほら、魔物は今も・・・」 そして、青年とその仲間たちは魔物と戦い始めました。 彼らと戦う魔物は、今も大きな魔物でした。 それはつまり・・・つまり・・・。 彼女は絶望と共に叫びました。 「そうよっ」 ひとから話しかけてもらえるのは嬉しい。 自分はきっと、愚か者なのだ。 救いようもないほどに。 自分で抑えられない。 学べない。 懲りない。 嬉しいを感じずになんていられない。 外の世界に憧れてる。 冒険の物語に心が躍る。 それを楽しみにしてる。 しかたないじゃない。 嬉しいもの。 楽しいもの。 あたしだって・・・あたしだって・・・ 「なにがっ・・・悪いの、よ・・・!!」 少女は泣きました。 地面に突っ伏して、大声で泣きました。 どのくらい経ったでしょう。 声をかけられ、少女は顔をあげました。 いつの間にか、戦いは終わっていました。 魔物は倒されていました。 目の前にあの青年がいます。 彼はもう一度言いました。 「悪くないよ」 少女がその言葉の意味を理解するのには時間がかかりました。 青年の後ろに冒険者たちが並んでいます。 彼ら彼女らは、みんな青年の知り合いで、古くからの仲間でした。 青年は約束すると言います。 毎晩、必ず自分たちが魔物を倒すと。 彼らは人数は少ないけれど、それはそれは強い冒険者で、周囲からやっかみを受けるくらい強いんだよと。 冒険に入り浸って、それが逆に問題になるくらいにね。 そう苦笑する青年。 少女を安心させるためでしょう。 少女を信じさせるためでしょう。 ひょっとしたら、自慢したかっただけの者もいるかもしれません。 正直ちょっと、おとなげないところのある面々でしたしね。 彼ら彼女らは、自分たちの武勇伝を披露し始めました。 青年の横にいる、子供にしか見えない冒険者は一人でガイアを倒したのだそうです。 ガイアといえば、冒険者の話に聞いている地下迷宮の一番強い魔物だったはずです。 それを、一人で? 本当でしょうか。 それだけじゃありません。 後ろにいた背のすごく高い、耳の長い男はタルタロッサという鳥の魔物の宮殿を一人で全滅させたのだそうです。 それを聞き、負けじと他の者たちも口々に言います。 俺だって。 あたしだって。 次々と出てくる魔物の名前。 それは少女が今までに聞いた、どれも信じられないくらい恐ろしいはずの魔物の名前ばかりでした。 彼ら彼女らの一人として、少女が驚かぬ武勇伝の者はいないのです。 そんなに、そんなに強いのなら、あの魔物にだって誰も負けないのでは。 誰も、誰も・・・死なないのでは? いつの間にか、彼女はおかしくなってしまいました。 なんだろう、この気持ちは。 身体がなんだか、ふわふわしているようです。 心がなんだか、うずうずしているようです。 最初の青年が言いました。 「きみは、幸せを感じることを諦めなくていい」 「諦めないで欲しい」 「諦めないように・・・してあげる」 少女の喜びはどれほどのものだったでしょう。 そう、きっとあの夜以来のことではないでしょうか。 あの、最初に冒険者たちが魔物を倒すために集った夜。 少女は嬉しかった。 幸せでした。 自分を幸せにするために、あんなにたくさんの人たちが手を差し伸べてくれたのです。 それまで、呪いに怯えた人々は少女に手を差し出すことなんて絶対になくなっていたのに。 笑ってもいいんだよ。 そう言ってくれた最初の冒険者。 あのときは本当に嬉しくて嬉しくてしょうがなかったけれど、自分がおかしくなってしまうくらい嬉しかったけれど。 あの冒険者は死んでしまいました。 深夜0時の魔物に殺されてしまった。 けれど。 今、目の前にいる青年たちは信じられないくらいに強いのです。 今夜出た魔物は最初の夜ほど大きくはありませんでした。 でも、目の前の彼らは「相手にならなかったな」「物足りない」なんて話しています。 うそみたいな、ほんとの話。 この人たちなら、きっと最初の夜の魔物だって簡単に倒してしまうでしょう。 簡単に。 誰も死なずに。 ひょっとしたら、今みたいに笑いながら倒してしまうかもしれません。 「あ・・・」 青年は気づいて、微笑みました。 「やっと、笑ったね」 嗚呼。 このとき、少女は忘れるべきではなかったのです。 最初の夜、あのときは不安がいっぱいだったことを。 不安は、嬉しいを殺してしまうものだということを。 本当に、本当にひとかけらも嬉しい以外の無い思いに満たされた幸せ。 それはどれほどにおぞましい魔物を顕現させるのかを、想像するべきだったのです。 少女は今も呪われています。 一日の終わり、少女は謝ります。 いけないことだったのに、ごめんなさい。 昼間、自分を幸せにしてくれた人たちに。 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。 GOMENNASAI,GOMENNASAI. GomEnNasAi,gOMeNNasaI,GoMEnnAsAi. そして、深夜0時の魔物は召喚され、冒険者たちに襲いかかるのです。 ねぇ。 あなたは冒険者ですか? 少女を、幸せに・・・出来ますか? ※△年○月×日、実装。 【クエスト:“深夜0時の魔物”】 ビスク西からイルミナ城をつなぐ祭壇の上に、GT0時に“深夜0時の魔物”がPOPします。 祭壇にいるNPCエキドナは、GT基準一日の間にトレードされたアイテムの総額に応じた強さの“深夜0時の魔物”を召喚します。 “深夜0時の魔物”はLv.1〜220までの範囲でPOPし、稀にクエストアイテム“祈りのカケラ”をドロップします。 “祈りのカケラ”×100をトレードすることで、少女エキドナの呪いは解除され、以降このクエストは二度と発生しません。 決して、二度と。 それでも、冒険者はクエストを成功させるでしょうか・・・。 〜母〜 少女の母であった森の娘は、件の司祭に連れ去られました。 遥かエルビン渓谷の果て、スルトの険しい山奥の洞窟深くへと。 そこでの司祭と二人で送る日々は、森の娘にとって堪え難いものでした。 それはとても口にすることの出来ぬような。 毎日、毎日、それが繰り返されました。 忌まわしい日々。 男は、清廉な司祭ではなくなっていました。 呪うべき日々。 女は、人間ではなくなっていました。 男を呪い殺し、女はなおも呪っています。 かの地の奥深くに眠りし、憎しみの記憶。 彼女は今も呪い続けているのです。 愛憎という感情に振り回される、ちっぽけな心の、かくもおぞましい生き物を。 「矮小な人間どもよ」 憎しみの焔を纏って。 「この地で焼かれよ!!」 ※公式において、このようなスルト火竜神殿のBoss“ステンノ”の設定はありません。 あしからずです。
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