短編小説っぽいもの

これが僕の生きる道! --  本編後書きコメント
 『これが僕の生きる道!』


〜プロローグ〜


ウィザードはエナで魔法を使う。
エナにステを振り、高度な魔法を習得し、破壊の言霊を撒き散らす。
エルフだって、そうだ。
やはりエナに振り、より大きな効果を赤や緑の魔法に込める。
だから。
僕がナイトなのに誤解してエナを振り続けてきたって、無理からぬことじゃないか?
まだ二次羽を付けられないLvながら、エナの値は既に400。
力が低くて上級防具は装備できないから、EX生命増加ダメ減で頑張ってる。
防御は低い。
武器だって上級のものを装備できないから、火力も高くない。
おかげで高い狩り場には行けず、殲滅速度もそう早くはない。
ギルメンが言うには、エナ振りが極端すぎたのだと言う。
早すぎたのだとも。
実のところ、それは僕も分かっていた。
なら、なんで極端にいきなりエナなんかに振ったのかって?
その問いの答えはさっき言ったことに関係ある。
出だしを読み返して欲しい。
そう。
僕は魔法戦士になりたかったのだ。

でも、ナイトは魔法を使えない。
それがMUだ。
知識と情報に無垢だった(“間抜け”とか“馬鹿”だとかいう形容は好きじゃない。核心を正確に突きすぎてる)僕は、こうしてエナナイトになった。
なってしまった。
でも。
何度も繰り返すが、ナイトは魔法を使えない。
なら・・・僕はどうしたらいいんだろう?
今もエナに振り続けている僕は、ただの意地でしかないのだろうか?



〜前編〜


あれはもう2〜3ヶ月は前のことになる。
ギルド“ウォシャウスキー”のギルメンたちがデビアス酒場で、エナナイトのバウンドを酒の肴にしたのは。
その頃、バウンドはまだチェンジアップも済ませておらず、Lvも二桁だった。
けれど、エナの値が既に一番高いと言う。
それを聞いたギルメンが心配半分、やれ格好の話題のネタだと食いついた次第。
「バウくん、まだTCをおぼえてすぐよね?」
怪訝そうに確認したのはジーナ、二次羽のエナエルフ。
彼女はまだいい。
顔に心配するような風が見て取れるから。
「あ、はい。まだ93です」
「それでエナはもう200近いの・・・?」
少年が頷くのを見て、アンディとラリーの二人が口笛を吹いた。
異口同音に、
「「そりゃすげぇ」」
二人はこのギルドが誇る回避ナイトの兄弟。
兄のアンディはややエナにも振っているが、弟のラリーは極敏。
Lvは兄アンディが270ほどで、弟ラリーは250にさしかかろうかというところ。
ミスリルで全身を固めたアンディと、皮で統一したラリーはギルド“ウォシャウスキー”の名物兄弟だった。
陽気で憎めないのだが、残念ながら頭はあまりよろしくない。
一方、ジーナはアイリス装備のエナジーエルフ。
アイリス装備となると、エナエルとしてはエナが低いと思われるかもしれないが、なに固定PTでは気にすることもない。
ましてや回避ナイト二人なんて珍妙な兄弟がPTメンバーとあっては。
普段は他にヴェンデッタというバンケル装備の回避エナ魔と、ダークロードのマトリックスがお決まりの面子。
もっとも、今この席を囲んでいるのはジーナとアンディ&ラリー兄弟、それにバウンドの四人だった。
中でも兄弟のほうはもうかなり酒がすすんでいるのだろう。
顔を見合すと、
「「そりゃあすげぇ」」
もう一度言い、爆笑し出した。
悪意は込められていなさそうだが、明らかに面白がっている。
「もう・・・ふたりとも飲みすぎよ」
ジーナが宥めるが、呆れ半分といったところ。
もう半分は、彼女もやっぱり驚いているってことだろう。
まぁ確かに、バウンドのステ振りが稀有なものであるのは間違いない。
「な、な?」
既に飲み干して空になったグラスを片手に、ラリーが少年に詰め寄る。
「なんでまた、そんなステ振りにしちまったんだ?」
「ラリー!」
ジーナが眉をしかめる。
「そんな言い方は良くないわよ・・・って、ダメね。もう完全に酔っ払いだわ」
明らかに聞いてないラリーの様子に、肩をすくめて苦笑する。
そして、申し訳なさそうに
「ごめんね、バウくん。相手は酔っ払いだから、気にしないであげてね」
「異議あり!!」
ラリーが叫び、高々と空のグラスを天にかざす。
「なんだ弁護人っ」
相手をするのはやはり酔っ払いのアンディだ。
ラリーは酒を一気に飲み干そうとし、グラスが空なのに気づくと投げ捨てる。
が、それでも
「酔っ払ってるのは俺じゃなく、この世界のことであります! 裁判長」
裁判長役らしいアンディがにやにやしながら、
「ほぅ! それはまたなんでだ? 兄弟」
「ここ毎日のようにある緊急メンテっ、これはMUのサーバーが泥酔しているに違いないのあります!!」
それを聞き、
「よく言った! 兄弟。お前の言うとおりだっ」
「であるからには裁判長っ、俺たちも泥酔するのがスジなのであります!」
グラスが砕けるほど強く乾杯し合い、浴びるように酒を飲む。
完全に二人で盛り上がっている。
その横でパクパクと細切りのチーズを口に運んでいるジーナさん。
良くない兆候だ。
これは彼女の我慢がそろそろ限界に来ている兆し。
バウンド少年としては酔っ払い兄弟に絡まれることよりも、彼女の機嫌のほうが気になって仕方がない。
「ま、エナも悪かないさ。スキルダメも上がるしな?」
多少は(弟に比べれば)まだ酔っていないアンディがグラスを上げて見せながら言う。
だが、そのグラスはもう空になっていたけれど。
口をつけてから気づき、これも空のワインボトルから注ごうとして舌打ち。
やっぱり酔っている。
その隙に、こちらはかなり泥酔したラリーが
「ははっ、放置向きじゃんか!」
「ぼ、僕はそんなつもりで・・・」
と言いかけたバウンド少年は、横であがった音にぎょっとした様子で顔を向けた。
「あ・・・じ、ジーナさん?」
テーブルに持ったグラスを叩きつけたらしいポーズのまま、静止しているジーナ。
彼女の手にはグラスは無く、砕けた破片だけが散らばっている。
馬鹿笑いを続けていた兄弟も「これはまずい!」と思ったのだろう、凍りついたようになっている。
その表情が引き攣っているように見えるのは気のせいではあるまい。
「ひっ」
息を呑んだ酔っ払い兄弟を睨みつけるように顔をあげるジーナ嬢。
その唇から鋭い声が飛んだ。
「ラリー! 一歩前に出てっ、歯を食いしばりなさい!!」
「はひっ」
条件反射か、恐怖への従順な降伏か。
ラリーは跳ね上がるように立ち上がり、直立不動で目を瞑って歯を食いしばる。
次の瞬間、
「ぐほぅっ!?」
腰の入った強烈なボディブローをみぞおちに叩き込まれ、なす術も無く悶絶する。
「え・・・?」
抉るような鋭い一撃を受けて崩れ落ちる弟を呆然と見やりながら、棒立ちになっているのはアンディ。
(だって・・・今、歯を食いしばれって・・・)
頭の中ではクエスチョンマークが乱舞しているに違いない。
なんで?
歯を食いしばれと言えば、顔を殴るのがスジではないか?
このとき、彼女にそう聞いたなら。
きっと、こう答えが返ってきただろう。
戦場を甘く見るな!
意味が分からない。
だが、まさに体罰と軍隊式な世界の縮図がここデビアス酒場で起こっていた。
まだ状況を理解できないでいるアンディに顔を向け、
「アンディ! 一歩前に出て歯を食いしばるっ!!」
「!?」
空白となった脳裏は、たやすく外部の指令に従った。
人は混乱して自分が制御できなると、上位者を歓迎するものなのだ。
それがたとえ暴君であっても。
「っ!? ぁぉぅ・・・」
やはり直立不動で目を瞑って歯を食いしばっていたアンディは、悲痛な呻きをかすかに洩らしながら力なく崩れ落ちた。
一瞬、跳ね上がるように硬直した後、一気に脱力して地面に倒れ伏す。
「・・・」
同じ男として戦慄を禁じえない暴虐を目の前にしたバウンド少年は、ただ目を丸くして硬直することしかできずにいた。
すごい。
座っているのに立ち眩みがする。
少年は思った。
そんな彼のほうを振り向いて、暴帝ジーナ嬢はうっすらと微笑みながら
「バウ君、これで許してあげてね」
もちろんです、サー。



〜後編〜


翌日、
「よぉ、バウ! いやぁ、昨日は悪かったなぁ」
多少は悪びれた様子で、それでも笑いながら声をかけたのはアンディだった。
「あ。いえ、僕は全然・・・」
見上げるほど長身の回避ナイトに答えるバウンド少年。
気にしてないのは本当だ。
というか、むしろウォーカー兄弟のほうが心配される状態で別れたわけで。
「あ、あの・・・大丈夫です? その、お兄さんのほう・・・つまり、その・・・」
患部の具合は。
よもや、朝っぱらから「股間の調子はどうですか?」とも聞けない。
「あ? あぁ、兄貴なら元気だぜ。今朝もジーナを口説こうとしてたからな」
「・・・」
そんなに元気があるなら安心しました。
「お、そうだそうだ。ちょうど良かった」
「はい?」
「ぶっちゃけ、あんま憶えてないんだが・・・ほれ、昨夜はなんか悪いこと言っちまったみたいだからさ」
「い、いえ、本当に気にしてませんから・・・」
大丈夫。
そう少年は言ったが、
「詫びといっちゃ何だが、CWに一緒に来るか?」
「え・・・CW?」
「トイレじゃねーぞ?」
分かってます。
「で、でも僕まだ・・・」
「大丈夫、大丈夫。俺ら“ツインタワー”が一緒なんだぜ? な、兄貴」
いつの間にか、バウンド少年の後ろにアンディとジーナが来ていた。
「PTだからさ、ジーナのGもあるし。どうだ?」
「あんまり期待されても困るけど、この二人も一緒だから・・・どうかしら?」
ジーナからも誘い。
バウンド少年は少し迷った後・・・
「はい。よろしくお願いします!」

「赤はそんなにいらねえぞ?」
からから笑いながら、買い物をする少年に陽気に声をかけるラリー。
兄のアンディもにやりと笑って、
「俺らがいるからな」
軽くお互いの剣を打ち合わせて見せる。
よくじゃれるように軽口を叩き合うが、この兄弟はいつも仲が良い。
「あ、でも・・・僕、そんなに青は要らないですし」
困ったように少年。
「それなら、アイテム拾えるように空けといたらどうだ?」
そう言ってウォーカー兄弟が笑った。
が、バウンド少年が
「はい! アイテム拾い、やります!」
と力を入れて答えると
「い、いや、そんなつもりで言ったんじゃねぇよ。な、兄弟?」
「あ、あぁ。・・・それに赤を買っとくのも悪くはないさ」
「そうだよ、うんうん」
気まずそうに慌てて頷きあうウォーカー兄弟。
そんな二人を見ながら、バウンド少年は思った。
軽口のつもりだったのだ。
役立たず扱いしようとか、アイテム拾いでもやってろと言うつもりなんかじゃなくて。
ジーナが申し訳無さそうに、何度も言っていた言葉を思い出す。
ほんと、悪人じゃないの。
抜きん出た長身を居心地悪そうに寄せ合うウォーカー兄弟を見ながら、おかしくなってバウンド少年は少し笑った。

「よっしゃ。こっちは俺が頂きっと・・・ラリー、お前はそっち側だ」
「俺の助けが欲しくなったらいつでも言えよ、兄貴」
「ぬかせ」
クライウルフの荒原で、相棒に軽口を叩いて挑発しながら楽しんでいる。
「バウ君は無理しないでね」
なんだかんだ言ってウォーカー兄弟を信頼しているのだろう、戦場なのにくつろいだ様子さえ見えるジーナが言う。
「あ、はい」
返事をしながら、バウンド少年は思った。
(すごい・・・)
初めて来たが、クライウルフはモンスターが多かった。
いや、単純に多いというよりも・・・寄って来るのだ。
狼の習性か、群れが狩りをするように集まってくる。
そんな狼の狩り場で、ウォーカー兄弟はその真価を発揮していた。
ジーナを中心に対極に位置、半円をお互いのテリトリにしてタゲを取る。
その高速のTCは二つの渦で、魔物をその内側まで通さない。
遠距離モンスを見つけたときだけ烈斬でラリーが飛ぶが、弟の位置にあわせて兄は巧みに対極テリトリを調節していた。
「おいおい、きつそうじゃないか! 助けが欲しいか?」
そう挑発しながらも、決して反対側には回ろうとしない。
それは信頼でもあり、誇りでもある。
彼らウォーカー兄弟、“ツインタワー”の。
「ちぃっと湧きがいいだけだろうがっ。くそ! いてぇな、こいつ・・・!!」
痛いと言いつつ、被ダメはカスリダメなのでヒールさえ要らない。
そんな二人を呆れたように、けれど親愛を込めて念のためにヒールしていくジーナ。
彼女は知っている。
アンディが先に、モンスが多く湧くほうを自分から選んでいることを。
自分は昔、エナに振ってしまっているから。
以前、ラリーがAGゲージ切れでエナ振りを悩んだ時期があった。
そのとき決して強制はせず、だが妥協を引き止め、励ましたのはアンディだった。
半端にエナに振っている自分の経験談を話し、自分で決めろと言った。
その上でエナに振るなら構わない。
エナを振らずにゲージが切れるのも構わない。
だが、後悔するようなお前と組むのは御免だと。
よく喧嘩する二人だが、コンビ解消を口にしたのはそのときだけ。
「ほれほれ、頑張れ。綺羅んとこの猫とトレードに出すぞ?」
「うるせー、俺は愛玩動物じゃねー!」

「おい、バウ。狼英雄、見たくねーか?」
そう言って、答えも聞かずに奥へ飛んで行ったのはラリーだった。
ここは浅瀬と奥地の境界部分で、湧くモンスの数はそう多くない。
「~バルラムの魔弓には気をつけろよー」
「~げ。あいつAG解除するんだっけか?」
「~それ、攻防戦のダークエルフじゃない?」
PTチャット。
ウェアウルフという、一際巨大な体躯の狼に連撃を叩き込みながら
「バウ、こいつには近づくなよ」
とアンディ。
浅瀬の狼たちより上位の魔物で、危険だという。
バウンドはその姿と色に魅了された様子で、せめてと応援エモティしたりしている。
「ははっ。バウ、余裕あるじゃないか!」
身長ほどもある大槍をかいくぐりながら、ウォーカー兄弟の片割れが笑う。
「その子と戦いながらチャットするあなたも余裕あるじゃない?」
そう笑うのはジーナ。
殲滅力こそ無いが、こういった直接攻撃系の魔物と一対一になった彼と一緒のときは安心だと知っているのだ。
「あの・・・遅くないですか?」
「あ?」
「そうね・・・迷ったのかしら」
と、彼女の表情が一変した。
ラリーのPTゲージが激減するのを見たのだ。
アンディが毒づく。
「あの馬鹿、マジでバルラムに遭遇しやがったのか!」
バウンド少年にはよく分からなかったが、狼英雄とやらを釣りに行って大物に捕まってしまったらしいということだけは理解できた。
「た、助けにいかないと・・・!」
「いや、待て! ジーナ、座標はっ?」
「ちょっと待って・・・近いわ」
と、彼女はぎくりとした表情になって
「近いっ!!」
後ろを振り向いたのは一斉にだった。
それから起こったことをバウンド少年は夢のようにしか思い出せない。
傷ついたラリーが鋼鉄の巨体の魔物に追われて姿を見せたのは憶えている。
ソラムというのだと後で知った。
武器というより、巨大な鉄の塊のような槌を魔物が振り上げるのを見た。
必死で気づいていなかったのだろう、目の前に現れた仲間を見、ラリーが絶望的な表情をして・・・
そして、彼は弾けるように身を翻した。
魔物の方に。
「無駄だ!」
アンディがそう叫んだような気がする。
「駄目だ!」
だったかもしれない。
よく憶えていない。
ラリーが結果の分かりきった死地へ踵を返すように飛び込んだのは、タゲを取ろうとする本能だったのかもしれない。
あるいは、奇跡に賭けて魔物のノックバックを狙ったのか。
魔物は全く意に介さず、空間すら歪ませるような勢いで巨槌を振り下ろした。
轟音。
砕ける世界の一部。
ラリーが吹き飛んだ。
砕け散るように。
バウンド少年の視界のはじで、盾を構えるアンディの片腕の装甲が剥がれ飛ぶのが見えた・・・気がする。
次の瞬間、意識は闇に閉ざされた。



〜エピローグ〜


「・・・あ」
目を覚ました少年の視界の先にいたのはアンディとジーナだった。
「バウのほうが先に気づくとはなー・・・こいつ、二次羽の風上にも置けないな」
苦笑しながら、弟の頭を蹴飛ばすような仕草をしてみせるアンディ。
「アンディさん、生き残れたんですね」
まだダメージが抜け切らないのか、重い身体に戸惑いながらバウンド少年が言う。
「俺だけじゃないぜ?」
アンディだけでなく、ジーナも死ななかったのだという。
Lvが違うのだから、羽の効果もあるだろう。
けれど・・・バウンド少年は思わずにはいられなかった。
(僕はナイトなのに)
目の前のエルフを見ながら、
「すごい・・・」
もれた呟き。
それはほんの少しの苦い味が混じっていて。
だが、気落ちした様子の少年に向かって
「ばーか。凄いのはお前だよ」
苦笑しながらアンディ。
「・・・え?」
「俺らと行ったときは一撃だったんだ」
その言葉を理解するまでに少し時間がかかった。
顎でジーナを示す長身の回避ナイトを見ながら。
そんな少年に優しく微笑みながら、あの惨劇を生き延びたエルフが
「あなたのSLのおかげよ」
少年の混乱。
それはつまり・・・
「ありがとう」
遅ればせながら、全身に染み込む祝福。
バウンド少年は不意に泣きそうになった。
「なぁ」
「あ、は、はいっ?」
目をごしごし擦りながら、返事をする少年。
「また次もエナに振るのか?」
「・・・」
少しの沈黙の後、少年は力強く頷いた。
それは数日前までは出来なかったこと。
「そうか・・・自分らしくってのは、不便なものだな」
そう苦笑しながら言う回避ナイトの目はあたたかかった。
その直後に言ったのは誰だったか。
「だが、それがいい」
みんなで笑った。

後に、ジーナ嬢は少年に語った。
「“PT”って、色々あるわよね」
「?」
「たとえば、PTは“殲滅力を上げるためのもの”」
効率良く、さらに高みを目指して。
それは紛れも無く、優れた強さ。
「いつのまにか、こっちだけになっちゃったわね。この世界は」
でも・・・
「ね、バウ君。わたしにとってはね・・・」
「はい」
彼女は紛れも無い感謝を込めて、新しい仲間に向かって告白した。
「PTは“世界を広げてくれるもの”なの」

行けなかった大地へ、戦えなかった敵へ。
冒険者はPTで到達する。
そんな仲間を得て、今日も今日とてMU。
そういうお話。





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